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歯周病からくる病気があるって本当? 歯周病と全身の健康との関係

歯周病は歯を失う原因で最も多くの割合を占め、とくに30歳以降は症状が急激に進行するため注意が必要な病気です。

その歯周病はお口の問題だけでなく、体の健康にも悪影響を及ぼすことが近年の研究により明らかになっています。

ここでは歯周病が全身の病気に関わる理由や、影響があるといわれる6つの病気について解説していきましょう。

 

歯周病が全身の病気と関係するワケ

歯周病は口内の細菌が歯ぐきに感染し、やがて歯を支える骨を破壊していきます。

このような現象はお口の中に限定したものと思われがちですが、実は全身の健康にも影響を及ぼすことが明らかになってきました。

ではなぜ、お口の中で発生する歯周病が全身にまで関わってくるのかというと、その要因は次のように考えられています。

歯周病が進行すると、歯と歯ぐきの間には「歯周ポケット」という深い溝ができていきます。

ここで問題になるのは、ポケット内では歯周病に関連する細菌が増殖するだけでなく、細菌が作る毒素や炎症に関連した様々な物質が放出される点です。

たとえば、すべての歯に深さ5㎜の歯周ポケットができた場合、ポケットの表面積の合計は手のひらと同じサイズといわれています。

しかも、歯周ポケットは手のひらのような皮膚で覆われておらず、むしろ傷口に近い状態といえます。

つまり、手のひらサイズの傷の表面に細菌やその毒素、炎症物質が常にさらされている状態と同じなわけです。

このような状態が長く続いた場合、傷口から細菌や炎症物質が入り込み、やがて全身に送られ悪影響を及ぼすことは想像しやすいでしょう。

また、歯周病菌に限らずお口の中の細菌が増えると、その細菌が気道から肺に入り込んで悪さをしてしまうことがあります。

以上のようなメカニズムにより、歯周病が進行するとその影響は全身に及び、様々な病気の発症や進行の引き金になると考えられています。

 

歯周病と関係する6つの病気

歯周病はこれまでに、心臓病や糖尿病、誤嚥性肺炎、骨粗しょう症、妊婦の早産、パージャー病などの病気の発症に関連があることがわかっています。

それぞれの病気について、以下に詳しく解説していきましょう。

 

①心臓病

歯周ポケット内の血管から侵入した細菌は、そこから全身の血管を通って心臓に達すると心臓の弁や内膜に感染して炎症を起こすことがあります。

さらに、歯周病に関連した細菌は全身の血管を刺激し、動脈硬化を誘引する物質を放出することも明らかになっています。

動脈硬化は狭心症や心筋梗塞のリスクを高めることから、こちらも注意が必要です。

 

②糖尿病

かねてから歯周病は糖尿病によって生じる合併症の1つとされており、糖尿病の人は健康な人よりも歯周病になるリスクが高いことが知られていました。

しかし近年の研究により、歯周病が糖尿病の発症や進行の原因になることが明らかになっています。

その主な要因とされているのが、歯周病菌の感染によって歯ぐきに放出される炎症物質です。

この炎症物質は血糖値を下げる「インスリン」というホルモンの働きを妨げることが知られています。

歯ぐきの血管から全身の血管に炎症物質が流れ込むとインスリンの効きが悪くなって血糖値が上昇し、それがやがて糖尿病の発症・進行へと発展していきます。

 

③誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎とは、口内の細菌が誤って気道から肺に侵入、感染を引き起こす肺炎です。

誤嚥性肺炎の原因となる細菌は酸素のない場所を好む性質があり、同じ性質は歯周病に関連する細菌にもみられます。

実際、誤嚥性肺炎を起こした肺から見つかる細菌は、歯周病の関連菌が多いといわれています。

 

④骨粗しょう症

骨粗しょう症は閉経後の女性に多いといわれますが、その要因として挙げられるのがエストロゲン(女性ホルモン)の分泌低下です。

エストロゲンは歯を支える骨にも関係しており、エストロゲンが減少すると骨が痩せやすくなることから歯周病が重症化しやすいといわれています。

さらに、歯周病が原因で歯を失うと、骨の生成に必要なビタミンやカルシウムなどの栄養素が不足することも、骨粗しょう症を悪化させる要因と考えられています。

 

⑤早産・低体重児出産

妊婦の歯周病は、早産(妊娠37週未満の出産)や低体重児出産(2,500g未満の出産)のリスクを高めることがわかっています。

これは、歯周病によって発生する炎症物質によって陣痛や子宮の収縮が促されるためと考えられています。

そのリスクは通常の7倍、タバコやアルコールよりも高いという研究報告もあるため、妊娠中の方はとくに注意が必要です。

 

⑥パージャー病

パージャー病とは手足の血管に炎症が起こる病気で、国の難病にも指定されています。

近年、歯周病はこのパージャー病にも関係していることが国内の研究によって明らかとなりました。

 

まとめ

以上のように、歯周病はお口のトラブルだけにとどまらず、心臓病や糖尿病など全身のあらゆる病気の発症や進行に関わることがわかっています。

歯周病は成人の8割がかかるといわれ、とくに30歳以降でその進行が早まるといわれています。

したがって30歳を過ぎたら、定期検診を活用しながらしっかり予防に努めていきましょう。

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